ダイヤモンドの光条(光芒)とクロスフィルターの効果について

ダイヤモンドが放つ自然な光条(光芒)とクロスフィルターの効果について解説したいと思います。

■クロスフィルターについて

クロスフィルターは、光を印象付ける「光の線(光条)」を創り出すフィルターです。
点光源をクロスフィルターに通すと、十字の光の線が出現します。
写真や動画でもきらきら感を演出するために、良く使われています。

今回、撮影に使用したクロスフィルターは、ケンコー・トキナー社のR-クロススクリーンと呼ばれるものです。
一般的に、4条のものをクロス、6条のものをスノークロス、8条のものをサニークロスと呼んでいるそうです。
他にもクロスの角度を自由に変えられるバリクロスというものもあります。

クロスフィルターの構造は、単純でガラスに格子状の溝が彫ってあるだけです。

クロスフィルター
クロスフィルターの全体写真
クロスフィルターを一部拡大
格子状の溝(一部拡大した)写真

クロスフィルターの特徴として、

  • 規則正しい(格子状)の光条になること
  • 1本の光条が虹色に分かれること

が挙げられます。

クロスフィルターの特徴の1つ、光条の中で赤、黄、緑など色が分かれるのがわかる写真

1本の光条が、虹色になる原因は、バビネの原理と呼ばれる光の回折現象が関係しています。
クロスフィルターの原理については、株式会社キヤノンの特許文献『特開2004-94006』に詳しく書かれていますので、知りたい方は参照してください。

クロスフィルターを使用するときは、上記の特徴をふまえて使用するようにしましょう。
被写体によっては、幻想的な光を演出することができます。

動画を見てもらえば分かりますが、エンゲージリングの方は、光条の虹色がハッキリし過ぎて、ダイヤモンドが主役になっていないように感じます。
光条があまり出ないようなダイヤモンドなら、それほど違和感なく見ることができます。

■ダイヤモンドの光条(光芒)について

ダイヤモンドに太陽光や白色光を当てるとファイヤーと呼ばれる虹色の美しい光条(光芒)が放たれます。

虹色の光条ファイアーの写真。放射状に光条が出て、それぞれの光条に赤、黄色、緑など色が分かれるのがわかる写真。

弊社では、上図のように自然な光条を出すため、強いスポット光(高輝度白色LEDライト)を用いています。
スポット光の角度や位置を微調整しながら、光条が出現する(カメラに映る)条件を探していきます。
動画を見てもらえば分かりますが、エンゲージリングの場合は、ダイヤモンドの角度によって虹色の光条の色が移り変わっていく様子がハッキリとわかります。
光条の出方や強さは、ダイヤモンドのカットや質に大きく影響されるので、全てのダイヤモンドで同じような光条が出るとは限りません・・・というより、ダイヤモンド一つ一つで異なるといった方が正しいです。

弊社では、強いスポット光として高輝度白色LEDライトを使用していますが、演色性が悪い(紫色・水色・赤色系列の色が不足している)ため、ダイヤモンドの真なる光条を引き出せていません。
今のところ、高輝度(200ルーメン以上)で高演色性の白色スポットライト(集光性がいい)が見つかっていません。
できる限り太陽光に近い光条を演出するのが、弊社の今後の課題となっています。

ジュエリーハナジマ様が所持されているラザールダイヤモンドのビンテージルースです。 世界で最も7色に輝くダイヤモンドの一つです。スポット光源は2つ、高輝度白色LEDとキセノンです。LED単体では不足していた色をキセノン光でカバーし、演色性を改善しています。
ダイヤモンドの光条の凄まじさ・美しさが感じられる動画です。
まるで一つの銀河がそこにあるようです。

この映像は、弊社で撮影・制作したものです。
撮影しているときも、このダイヤモンドの輝き方は、尋常ではありませんでした。
撮影技術としては、まだまだ至らない部分もありますが、美しい映像に仕上がったと思います。

美しい光条のジュエリー映像  高画質・高品質のジュエリー映像をご覧ください。画像をクリックすると動画一覧ページへ移動します。